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2005年12月29日 (木)

【鉄旅】九州旅行1日目A・小さな遊園地の物語

 隣の車両にいる車掌さんに声をかける。

 「すいません・・・、後ろの人のイビキが大きすぎてとても寝るどころじゃないんですよ・・・。予備席は設定されてないんですかね・・・。」
 こちらの顔を見ただけで苦笑を浮かべながら、「あぁ、6Cですか」と言われる。どうやらすべてお見通しらしい。
 「あの1番前の席は予備席じゃないんですか?」というと手元のメモを見て、「そうですね・・・、11A、入ってすぐの席を使っていいですよ」

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 念のため解説。
 「予備席」・・・まれに起こるダブルブッキングや何らかのトラブルに対処するために設定されている空き座席。車掌の権限で使用させることができる。
 どんなに混雑している列車でもなぜか空き座席がある事があるがそれが予備席だと思っていい。
 今回のようにあまりこっちから使わせるのはあまり褒められた事ではないとは思うが・・・。
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 よっしゃ、交渉成立だ。席に戻って早速荷物をすべて持って移動する。壁が目の前だから前の座席の人間の事も気にしなくていいし静かだし・・・とおもったら今度は空調の音がうるさい。まぁこれくらいは我慢するが。

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 ようやく眠りに落ち停車のショックで目を覚ますとそこは下関。機関車が付け替えられ九州へ渡る。そして定刻4時49分小倉駅に到着。
 さて次の列車、にちりん3号は6時41分発。ほぼ2時間時間を潰さないといけない。

 どこか待合室でもあるかと探したがどういうわけかまったく見当たらない。とにかく寒い。いくら九州といえど夜明け前はとてつもなく寒い。東北向耐寒装備でちょうどいいくらいだ。
 じっとしていると我慢ならないのでとりあえずコンビニを探して食料を調達する。温かい肉まんがとにかくおいしい。
 それからも撮影などしてどうにか時間を潰しようやくやってきた「にちりん」に乗車する。とにかく暖かい。涙が出そうだった。
 出発すると安心したのかあっという間に眠りに落ち気がつくと目的地の別府の手前だった。

 別府に到着。ここへきたのは温泉のため、なんかではもちろんない(笑)。
 「ワンダーラクテンチ」という遊園地・・・のケーブルカーが目的である。山上にある遊園地への輸送のためにたったの300mのケーブルカーがあるのでこんなところにあるのでやってきたのだ。
 バスで行けるという事だったが駅前のバス停を探してもそれらしきバスが見当たらない。仕方がない。次善の策として歩いて行くための地図を印刷してきてある。2キロ弱なら歩いてもさほど遠いわけではない。
 歩くことおおよそ20分。ようやく「ワンダーラクテンチ下駅」(正確に言うなら「雲泉寺駅」)に到着。ちょうど9時から営業開始のようでいいタイミングである。
 ちなみこのケーブルカーは「遊園地のアトラクションの一つ」ということらしく一般の人間はケーブルカーのみで乗車する事はできず遊園地への入場を必要とする。つまりここが「ワンダーラクテンチ」の入り口、ということである。
 つまりここに乗るということは「年の瀬の遊園地に開園直後にいい年した男性が遊園地に遊びに来た」図に見えてしまうわけである。
 くっ、乗りつぶしとはかくも苦しき道のりだとは!(違)
 舞浜リゾートラインと東京都交通局上野動物園モノレールとこのラクテンチケーブルが3大苦行だといっても過言ではないだろう(笑)。

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 一人だったら最悪に拍車をかけてしまうところだったが幸いにして家族連れが一組いたからまだマシだったが。
 これで同業者ばっかりだったら泥沼もいいところである。
 
 距離としては正確には250m強だが最大斜度は558パーミルと結構きつく足元はコンクリート道床となっている。
 ずんずん登ってわずか3分で到着。ホームへ降りた直後に車両が下に向かって下りて行く・・・ってえぇぇぇ。
 みると車掌役のおねぇさんがなにか上に渡すものがあったらしくて必死にアピールしているが中途半端に止められないケーブルの悲しさ結局降りていってしまった(笑)。

 せっかく入場料を払ったのだから一応一通りは見ていくことにしてそのあたりをぶらぶら歩く。
 地方の遊園地らしくもちろん大掛かりなアトラクションはないが一通りは揃っているようだ。山肌に張り付くようにアトラクションが並べられている。奥へ進むとすぐに高速道路と一般住宅が見えてくる。ちなみにこの周辺世帯の人たちのみは遊園地の入園料無しでケーブルに乗る事ができる。小学生たちは毎朝このケーブルカーに乗って小学校に通っているとの事だがなかなか面白い話である。日本中広しいえど遊園地の中を通ってケーブルカーに乗って通学している子供など多くはないだろう。

 奥に進むと簡単な動物園のようにもなっていていろいろな動物がいる。シマウマ、ロバ・・・、なんか白いイノシシがいるんですけれど。イノシシのアルピノなんか聞くのも見るのもはじめてである。近づくと柵越しに鼻を摺り寄せてくるので触ってみるといたく剛毛だった(笑)。

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 面白かったのが何だったかテナガザルの類で最初は腰掛のようなところにだらーっとみんな座っているのに近づくと「しゃあないなぁ、仕事してやるか・・・」とでもいわんばかりにうろうろし始める。

 なんやかんや言って結構楽しんでるやんか、俺(笑)。

 ぐるっと回り込むと展望温泉があった。さすがに朝のこの時間から温泉にはいる気もないので引き返そうと思ったら無料の足湯があったのでせっかくだから入らせてもらう。
 これが結構気持ちよい。足がふやけそうになるまでぼんやりと入る。幸か不幸かほかの人間はほとんど来ない。
 そしてそろそろ次のケーブルカーの時間が近づいてきたので園内をショートカットできる全長170mの大きな吊橋を渡る。一人で歩いても結構揺れる。ちなみに私は高所恐怖症一歩手前(笑)。
 ややふらふらしながらケーブルの駅に到着。ちょうど5分前である。
 先程の運転手さん兼係員さんが駅にいたので話をしていると「運転台を見てみる?」という話になる。
 思っても見ないことではあるがこんなチャンスめったにないので二つ返事でお願いする。
 後ろの扉から機械室兼運転室に入れてもらう。
 そこにはクラシカルな機械が並んでいる。
 話によると当初開業の昭和3~4年当時の設備がほとんど現役で稼動しているという。
 運転台(制御盤といったほうがいいのか)にはマスコンとハンドルを回して止める手回しブレーキと最悪の場合の足踏み式の非常ブレーキとシンプル極まりない構造である。

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(以下許可を得て撮影)

 その足元には二つのモーターと連動した巻き取りリールが鎮座している。非常時や大きな負荷がかかった場合に自動的に動力を切り離す構造になっているとの事である。
 リールは手前から奥に二つ並んでおり8の字にかけてあり外れにくいようにしてあるらしい。

 さらに車両に案内され足元の点検板をぽんぽんと取っ払いなんとケーブル車両の車輪まで見せてもらう。片方の車輪は両フランジで片方の車輪はつんつるてんになっている。これが2両で逆向きに設定されているので中間点でお互いが違う方に行くようになっているのだ。いままでイラストでは見た事はあったが実物を見るのは初めてだ。

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上:フランジ有 下:フランジ無

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 すると駅舎から電話の音がする。あわてて係員さんが飛んで行く。あ、と思って時計を見ると10時05分。

 説明聞いているうちに出発時間が5分過ぎてる!(笑)。
 下の駅からなぜ出発しないのか電話がかかってきたようである。

 あわてて車両に戻ってきて点検板を閉める係員さん。
 「ガイドいないけどいいかな?」って全然問題ありません、早く動かしてあげてください。

 私一人のみを乗せて降りて行く車両。

 あぁぁぁぁ、自動扉が閉まってません!!(笑)

 途中登ってきた車両は乗客でいっぱいだった。心の中で必死に謝っておく。

 一人ホームに降り立ち遊園地を後にする。なぜか胸は暖かいものでいっぱいだった。
 大きなテーマパークはもちろんいいだろうけどこういう小規模な遊園地だって楽しいじゃないか。そんな事を考えながら別府駅目指して歩き出した。

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 一日目後半へ続く。

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